第一章  ~ピンク~

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ラダンは指輪を光にかざします。指輪は黒くつるつるしています。まるで石から作ったような質感です。ピンクも自分の指輪に手を触れます。こちらは白く貝殻の裏側のような光沢を持っています。 「古文書に『世界のへそ』と記されている土地がある。実は僕らの住むこの土地が、『世界のへそ』だと分かったのは、本当に最近のことなんだ。『世界のへそ』に隠されているといわれた秘宝、白と黒の球が発見されて、初めてこの土地こそが『世界のへそ』であると知ることになったんだ。そして、この発見は古文書に信憑性をもたせることに成功した。」 ラダンは鎮痛に話を続けます。 「古文書には、こう記されている。」 ~初代の王が己の死を悟った時、王はその力を陰と陽の二つに分けて、一対の宝玉にこめた。彼は世界の中心を探し当てそこに玉を隠す。そうして、宝が見つからないように堅固な結界を張り巡らせた。 王の死後、その閉ざされた土地を探して多くの者が世界中の未知なる地を目指して旅立った。しかし、誰一人かの土地を見つけることはできなかった。やがて人々の記憶からその出来事は忘れ去られる。その土地の名を『世界のへそ』と言う。~
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