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「あなたには、違和感を覚えます。どうしても、目に見えるような年齢には、見えない。
あなたは、事実を隠して真名を探ろうとした。
あなたの真意はどこにあるんですか。」
「おやおや。年のわりには鋭い洞察力です。ものごとの本質を見極める力があるようですね。
ほほほ。あなたは見込みがあるようです。ほめてあげましょう。」
老師の言葉つきも、声もすっかり変わってしまいました。表情は笑っているのに、目が笑っていません。ピンクは子供を抱えたまま、すぐに飛び立てるか相手との距離をはかります。
老師はいらだたしげに、頭をくしゃっとかきます。
「ちぇっ。変装にはかなりの自信があるのにな。残念だ。しょうがないですね。あなたには本当の私の姿をお見せ致しましょう。
…ここだけの話にしておいてくださいね。」
そう言って、ふさふさ眉の下で老師はウィンクしました。老師はおもむろに顔をぬぎます。そう、まるで服をぬぐようにです。ピンクはぎょっとします。老師はぬいだ顔を手にしていました。それは良く出来たマスクでした。視線を転じてピンクは目を見張ります。
老師が立っていた場所。そこには類まれなる絶世の美男子が立っていました。まるで、後光を背負うような神々しいまでの美しさです。銀に近い紫の髪が滝のように腰まで流れ落ちています。目は涼やかなサファイヤの様で艶っぽくうるんでいます。良く見ると、実は濃い紫色をしています。なによりも整いすぎたその顔に目が奪われます。口元は、うっとりするような優しい微笑が自然にたたえてありました。
ピンクはこれまで、これほど美しい人を見たことはありませんでした。唯一欠点を挙げるとすれば、彼の着ている服が老人の衣装そのままであることぐらいです。しかし、それさえも彼の美しさを際立てているかのように感じさせます。
「目がくらむほどでしょう。」
おどけたポーズをとって、老師はぬけぬけと言いました。しかし、本当にその通りです。こんなに若々しく美しい人には、もはや老師の称号はふさわしくありません。
「名は本当にタイ=ピンなのですよ。姿は偽っても、呼び名は偽っていません。二人の時はピンちゃんとでも呼んでいただければ幸いです。」
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