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ピンクは衝撃のあまり思考回路がしばしストップしてしまいました。外見としゃべる内容にギャップがありすぎます。
「なぜ、老人の姿をしているの。」
「しいて言うならば、美しすぎるからかしら。罪ですよね。
この姿をしていたら、目立ち過ぎて身動きがとれないのですよ。だれしもが擦り寄ってきて困ってしまうんですの。」
明らかに、不気味なものを見るような目をしているピンクを見て、老師はためいきをつきました。
「あまり、素顔をさらすものではないですね。はてさて、ではこの顔をしまいましょうか。」
そして、タイ=ピンは再び老人マスクをかぶります。
「ええと、なんの話をしていましたっけ。そうです。真意です。真意ですか。難しいですね。しいて言うなれば、私の動機は一族の安穏たる繁栄ですかね。それが行動の大原則となっています。
私たちは力を持ちません。不利な状況で生存の権利を勝ち取る為には唯一私たちが持てる武器、情報ですね。そう、情報で他者にぬきんでるしか、方法がありませんでした。時にはそれを利用し、他者を出し抜きもします。
しかし、私個人としましては、世界の根底を覆す、この予言された激動の時代に生まれたのです。ですから、私の望みはあなたの側で、一番身近な傍観者であることです。決して、あなたの不利になるようには動きません。それは誓えます。」
「どこまで、あなたを信じていいのか。
分かりません。」
「あなたとラダンに渡した指輪。覚えていますか。あれはあなた方の為の秘宝です。しかし、私はあれを、あなた方を操る交渉の切り札にだってできたのです。秘宝を見返りなく手渡したことを鑑みて、少しの信頼を私に与えてはくれませんか。」
ピンクはじっくり考えました。ピンクには、その申し出を断る理由が見当たりません。それで、こう答えました。
「ええ。分かりました。」
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