第一章  ~ピンク~

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老師はほっとしたようでした。老師が素直に感情を見せたので、ピンクは老師に好感を持ちました。 老師はしみじみ言います。 「あなたは、まだ幼い。しかし、運命によりあなたは大いなる力を持った者の従者なのです。今日はこのことを告げたかったのです。」 ピンクはかすかにほほえんで言いました。 「私は、その使命の具体的な方向が見えません。 この子が自分で判断できるまで、どの様に過ごせばいいのでしょうか。この国の外に行くのか、こちらの王宮で過ごすのか。」 「それは、あなたに一任されています。しかし、教育の面で言うなればこの城は最適な環境でしょう。知識こそ力です。教育面では私が力になれると思いますが。」 ピンクはしばらく考えました。さきほど、白の球が見せてくれた景色が思い出されます。 「ええ。では、お願い致します。 雲の上からだと地上の様子は見えません。地上からの眺めも必要なのです。机上の論も必要ですが、いずれはこの子に自分の国を自分の足で歩き、見聞させてあげたいと思います。 ああ。ようやく、答えがでました。 ありがとう、タイ=ピン。」 ピンクは晴れ晴れとした表情で言いました。 「ピンちゃんでも言いですよ。遠慮なさらずに。」 ピンクは、タイ=ピンのその答えがおかしくて、思わず噴き出してしまいました。 「どうしても、そう呼べないです。」 そう言って、二人は笑顔を交わしました。 こんなふうに、ピンクの運命は回り始めたのでした。  ----  END  ----   第一章  ~ピンク~  
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