第一章  ~ピンク~

6/30
前へ
/30ページ
次へ
(おばあさんは、何か知っているんだわ。) ピンクはおばあさんから何か聞けないかとじっと待ちました。 しかし、おばあさんはこう言っただけでした。 「いずれ、お城から使者が来るじゃろう。ピンクや、急いで身支度をしなさい。一番上等な服を着るんじゃ。そうだの、こないだの春節祭に着た服がいいかもしれん。さ、急ぎなさい。」 ピンクは自分の部屋に急ぎました。すると、お母さんが着るものを用意して待っていました。 「ピンク!まずお風呂よ。綺麗にしなくちゃ。」 お母さんはピンクをお風呂場でごしごし洗います。手荒い扱いに抗議しようとしたら頭から水をぶっかけられました。突然だったので、水が鼻に入ってひどくつーんとします。 「これでよし。」 お母さんはピンクの不満顔にもおかまいなしにさっさとタオルで水気をふきとり、一張羅を着せます。 「ドライヤーをかけなくちゃね。」 ピンクの短い髪はいつもつんつんとあちこちにはねています。お母さんは必死に言うことを聞かせようとブラッシングしますが、ピンクの髪は本人同様奔放に、はねたままです。 「あーー。時間がない。しょうがないわね。まあ、これはこれでかわいいから、いいかしら。」 お母さんは一人勝手に納得してピンクの身支度を終えました。ピンクはふわふわに広がった桃色のドレスを着てちょっとご満悦でした。やっぱり女の子なので、かわいい格好をするとうれしくなります。黄色のエナメルの靴がピカピカして、とっても楽しい気分にしてくれます。 ちょうどその時、お城から使者が到着しました。 「私、一人で行くの?」
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加