第2章 大切だから

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 地上の生き物達とは違い、力を司る者達の体は力が結晶したものだ。  だから地上の何者も、司る者に傷を残すなどできないはずである。  それが可能なのは、同じ形態の力だけだ。  「これは火によるものか…、まさか、フェスがやったのか!?」  「違うっ! フェスのせいではないっ……私が、うっかりしていたんだ」  「訳を言え、エダーナッ!」  怒って問うヴァードァナに、エダーナは言葉に詰まり、つい押し黙ってしまった。  「フェス! ここに来い!!」  「ヴァードァナッ!!」  怒りのために気短かになっているのだろう。  黙ってしまったエダーナにそれ以上聞かず、ヴァードァナは火の神を呼びつけた。  「何用ですか? ヴァードァナ」  力ある呼びかけに、フェスが夜の灯火となって現れた。
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