第1章 はじめ

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 「私は今、意識を持った」  光が話す。  闇は少し迷ったが、  「同じだ」  そう答えた。  ふたつの意識がそれぞれに持った結晶体。それは同じようでだいぶに異なっている。  闇のそれは、肩も胸も大きく強くしっかりとしている。  対して光のそれは、細く柔らかくしなやかだったが、かといって弱く見える訳ではなかった。  「私はこの天。闇から生まれた」  言葉を使うと、自分でも知らなかった自身の事が紡ぎ出されてくる。  「私はこの地。大地から生まれた」  それはどちらにしても同じようだった。  「名は?」  「生まれたばかり。あるはずがない」  闇が光を見つめたまま柔らかく話しかけ、光は微笑みながら受け答える。  「……゛エダーナ゛はどうだ?」  「大地の神(エダーナ)? 私が?」  「そうだ」  闇から発せられた゛エダーナ゛という言葉は、光の意識にそう伝わった。  膝にひじをつき、その場に座り込むような姿勢で、闇は光を見つめている。  「ならば……おまえは闇の神(ヴァードァナ)ということだな」  クスクスと笑いながら、エダーナは目の前の者に名を贈った。そのしぐさが眩しげに感じられるのか、ヴァードァナは目を細める。  「エダーナは美しいな」  「?」  ヴァードァナのその言葉に、エダーナはほんの少し、その深い緑の瞳を見開いて首をかしげた。  肩から金色の髪がさらりと流れる。
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