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「私は今、意識を持った」
光が話す。
闇は少し迷ったが、
「同じだ」
そう答えた。
ふたつの意識がそれぞれに持った結晶体。それは同じようでだいぶに異なっている。
闇のそれは、肩も胸も大きく強くしっかりとしている。
対して光のそれは、細く柔らかくしなやかだったが、かといって弱く見える訳ではなかった。
「私はこの天。闇から生まれた」
言葉を使うと、自分でも知らなかった自身の事が紡ぎ出されてくる。
「私はこの地。大地から生まれた」
それはどちらにしても同じようだった。
「名は?」
「生まれたばかり。あるはずがない」
闇が光を見つめたまま柔らかく話しかけ、光は微笑みながら受け答える。
「……゛エダーナ゛はどうだ?」
「大地の神(エダーナ)? 私が?」
「そうだ」
闇から発せられた゛エダーナ゛という言葉は、光の意識にそう伝わった。
膝にひじをつき、その場に座り込むような姿勢で、闇は光を見つめている。
「ならば……おまえは闇の神(ヴァードァナ)ということだな」
クスクスと笑いながら、エダーナは目の前の者に名を贈った。そのしぐさが眩しげに感じられるのか、ヴァードァナは目を細める。
「エダーナは美しいな」
「?」
ヴァードァナのその言葉に、エダーナはほんの少し、その深い緑の瞳を見開いて首をかしげた。
肩から金色の髪がさらりと流れる。
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