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「私のように一人で、というのは知らない。でもおまえが私に力を与えてくれるなら、私が生み出せる」
エダーナはこれ以上ないぐらいに目を輝かせていた。
「変だと思わないでくれ? 私はおまえがいて力を貸してくれれば、何だって生み出せると思うんだっ!」
「何でも…、か?」
ヴァードァナの問いにエダーナは強く頷いた。
「思いつくままにいろいろ。流れにまかせてもいい。……そうだ、一緒に力の結晶を作ってみよう。それを水の神にあずけてみよう」
「ラルナに?」
「ああ」
ワクワクした顔がまぶしい。
「私も含めてだが今は水の領域が一番穏やかだ。結晶はそこで育つ。そのうちに大地にも空にも火の中にも行けるようになる。きっとだ」
はしゃぐようなエダーナが促すまま、彼はその作業に加わった。
「本当に私の闇でいいのか?」
手のひらに力を集中し、闇を渦巻かせなからもヴァードァナは聞く。
「おまえの力でなくては意味がないだろう」
何度目かのくどい戸惑いの言葉に少し呆れながら、両手の上に強い光を凝縮させてエダーナはもう一度笑った。
「おまえの力をこの光に溶け込ませてくれ。そうすれば変化が起こる。何かが生まれる」
期待に満ちた笑顔を見て、ヴァードァナはもうそれ以上問うことは止めた。
エダーナの言葉通りに力は反発することもなく、交じりあい不思議な色合いの、ひとつの塊になっていく。
これが地上の命のはじめであった。
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