第3話

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「彼らのほうがあなたたちよりも、思慮に欠ける様に感じるからです。 バルス、それでどれくらいで、迎えはやってくると考えていますか?」 「さあ。明日か、もっと先か。近日中に間違いはないと思います。そうでしょ?」 「ええ、その通りです。結構、結構。 さて、ラダン、実はあなたと二人でお話したいことがありまして。バルス、失礼ですが席を外していただけませんか?」 バルスは、首をかしげ言います。 「僕に、じゃないんだ。珍しい。いいよ。どのみち、アキラとする鍛錬が残っているし。」 バルスは、ラダンに言います。 「それじゃ、また後で。」 タイ=ピンはバルスが見えなくなるまで見送ると言いました。 「ここでは人目をはばかりますので、移動しても宜しいですか。」 「ええ。僕もあなたに話がありましたので、ちょうど良かったです。」 「おや。それは、奇遇ですね。では、私の自室までご足労願いましょう。」 ラダンはうながされ、城内のタイ=ピンの部屋へと案内されました。 「どうぞ、お座り下さい。」 タイ=ピンの部屋は城の中にあることを疑いたくなるような質素なものでした。家具や調度品は実用一点張りのもので、かつ必要最低限のものだけです。派手好きで、綺麗なもの好きのタイ=ピンにしては意外なことです。質素な室内の中で、すすめられたソファーは唯一高級そうに見えます。ラダンがそっと座ると老師自らがお茶を持って来てくれました。 「どうもメイドを部屋にいれるのは居心地が悪いもので。 掃除も、自分でするようにしているんです。」 困った様に笑って、グリーンティを出してくれました。老師はラダンに向かい合う様に座ります。 「さて、まずはあなたの方からどうぞ。」 ラダンはどう切りだそうか、迷いました。いざとなると、言葉が浮かびません。それで、単刀直入に切り出しました。 「あなたは一体、だれなのですか。 勝手ながら、あなたについて調べさせてもらったのです。」
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