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ピンクの手の平の上で小さな生き物は静かに首をかたむけています。エメラルドグリーンのようでいて、パステルのような優しい色の亀です。甲羅の模様はひし形でその一個一個がつるつると光っています。ピンクは興味津々で亀を色んな角度から眺めました。
「さあ、名を与えてあげて下さい。そうすれば、亀はあなたの良き友となってくれるでしょう。」
「そうね。何がいいかしら。」
ピンクはじっと亀を見つめます。亀もじっとピンクを見返します。すると、ぱっとひらめく様に、名前が思い浮かびました。
「サクタ。サクタだわ。宜しくね。サクタ。」
亀は満足したようで、ゆっくりとしっぽをふりました。
「きっと、いずれ役に立ってくれることでしょう。」
タイ=ピンは満足そうにうなずきます。
「さて、あなた方は二人の神の子を守り、導くことが役目とされています。しかし、神の子は自分で考え、運命の導くままに己で道を切り開く力を持っています。実は、あなた方が彼らを導く必要などないのです。
では、なぜあなた方が必要であるのか。力あるものは、同時に大きな孤独を抱えます。彼らの精神的な支えがあなた方なのです。良心の砦なのです。ピンク、ラダン、妖精の選ばれし子供たち、望まれることは唯一つ。彼らより先に死なないことです。生きること、なんとしても生き延びることが求められるのです。いいですか。肝に銘じておくのですよ。」
二人は、タイ=ピンの真摯な言葉にゆっくりとうなずきます。
「僭越ながら、さらなる贈り物を御用意しました。」
そうして、老師は二人にそれぞれ護符を与えてくれました。
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