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首をすくめたアキラは剣を握りなおし、再びバルスに向かい合います。また元気な剣のカキン、カキンという音が響いてきました。音が右から、左からと聞こえ不思議な感覚を覚えます。虹山特有の音響効果です。
人間の成長は速い。いつのまにか、二人の子供は二人の妖精の成長を超えていました。
雲を駆け上がる二人に合わせピンクとラダンは羽を羽ばたかせます。太陽は空にあがると共にどんどん光を変えていき、それと共に虹も雲もどんどん色を変えていきました。光が世界を染めるのです。
ピンクはラダンにぼやきます。
「あ~。嫌だわ。すっかりルーズなイメージがついっちゃっているのね。」
「はは。大丈夫だよ。誰も気にしてないから。」
「あら、誰も気にしていないほうが、気になるわ。」
ラダンは軽く笑みをみせ、視線を二人に戻します。ピンクはラダンの横顔をほれぼれと眺めました。出会ってから、少しも容姿は変わってないのに、ラダンを取り巻くオーラがなぜか変わった様に感じます。瞳は相変わらず、輝くグリーンですが、いつのまにか深い静謐さをたたえているのです。
「どうしたの?」
見つめているのをラダンに問われ、ピンクはどぎまぎしました。
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