第3話

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「えーっと、アキラもバルスもいつの間にか成長して、なんだか複雑じゃない。親みたいな気持ちでいたのに、最近じゃ、子供扱いされる始末よ。」 「はは。そうだね。二人ともあっという間にすくすく成長したね。なんだかしみじみと誇らしく感じるよ。僕らのほうが、彼らよりもずいぶん年上なのに、変な気分だね。精神年齢でいうと、どうなんだろう。彼らの精神は成長と同じく僕らを超えたのかな。 だけど、そうであっても、僕らにとっては、かわいい坊主達に変わりはないよね。」 「うん。」 この春、二人の子供は十五歳という年齢に達しようとしていました。 二人は相変わらず軽やかに剣と剣。心と心を交わしています。 ぱんぱんと、手を打つ音がしました。 「結構、結構。次は空中戦の鍛錬です。呪の使用を禁止していましたが、許可しましょう。剣と呪を組み合わせてやってみなさい。」 剣の指導にあたっている、剣の精霊・セクが告げます。剣の精霊は全身銀色で顔もぴかぴかしています。この軽やかな雲と虹の世界で異質な存在です。セクは王族であるラダンに礼の形をとりました。 「いつからいたのかしら、気付かなかったわ。」 ピンクが小声でラダンに告げます。 剣の音が止みました。 「剣なんか使わないほうが、やれるのに。」 アキラが不満をもらすと、セクは言いました。 「剣に呪を合わせれば、相乗効果により攻撃力が増します。しかし、まずは基本を忠実にマスターすることが大事です。 しかし、そうですね。いいでしょう。呪の使用を許可します。ですが、あくまで剣との組み合わせで用いて下さい。 戦術のひらめきを大切に。お互い死なない程度におやりなさい。」 「うわ。いいのかよ。本気でやっても。」 アキラはぺろっと舌を出し、剣に陰の気をこめます。それを見て、バルスも剣に陽の気をこめます。二人は、あ・うんの呼吸と共にぶつかりあいました。セクはすぐさま動きます。しかし、二人の衝突に間に合いませんでした。衝突はすさまじいものでした。二人の駆け上がっていた虹山の入道雲が一瞬でふきとんでしまうほどです。さらに、ぶつかっただけで、空間に亀裂が走りました。セクが二人の間に入り、剣で一人一人なぎ払ったころには、空に深々と縦に亀裂が入っていました。
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