第3話

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「何をやっているのです。呪を許可しただけですのに。陰と陽の理をぶつけ合うとは。 …どうなるか、お二人とも分っているはずでしょう。」 「いてて。」 アキラはセクに打たれた頭をかかえて、言います。 「思いっきりやるなんてひどいな~。」 バルスも同様に打たれた背中をえびぞりになってさすっていますが、こちらは必至で無表情を装っています。どうやら、笑いをこらえるのに我慢している様子です。セクはため息混じりにつぶやきます。 「あきれた暴れん坊達だ。」 空間は開いて歪んだままになっています。空間再生の呪は妖精の中で優れた力を持つ王族でも簡単には施せるものではありません。普通は複数の呪者で何日もかけて行うものなのです。 「弱りましたね。自然発生ならまだしも、故意に開けたとなると、重罪です。」 言いながら、セクは空いた空間の大きさに気づき、手を額にあて愕然とします。彼は困り果ててしばし眺めていましたが、急いで城の呪者に連絡をとろうとしました。 「セク、それには、およばないよ。」 ラダンは縦に切れた空の前に立って二本の指を口元にあて、呪を唱えました。すると、発した言葉が形となり、空間を覆います。セクが唖然とする中、見る間に修復されて行きました。セクは驚愕の面持ちでラダンを見つめ、大きすぎるラダンの力に眉をひそめました。 「そんな。」 ラダンはウィンクしながら言います。
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