Cαfё 1

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「稚空…?」 「ショコラ、いい加減さ? 本名教えてよ」 「え?」 「何で内緒にする必要ある?」 「えっと、それは…」 「それは?」 「稚空にはショコラって呼ばれたいからだよ?」 「俺にだけ呼ばれたいって意味?」 「うんっ」 ショコラが元気よくそう告げても、稚空的には本名を知っておく必要があると感じる。 「ショコラ? もしもこの店でバイトしたいなら、本名知る必要アリなんだけど嫌か?」 「…稚空は本名で呼びたいの?」 「嫌、知りたいだけだよ? ずっと秘密ってのも何か嫌だ」 「じゃあ、稚空がキスしてくれたら教えてあげる」 「またそれ? ショコラ卑怯だな」 「だって、稚空が好きだもん」 「…じゃあ、目瞑って?」 「うん?」 ショコラが言う通りに目を瞑って待っていると、稚空はショコラの首筋にいきなり吸い付いた。 「…んっ?!」 「これで教えてくれんだろ?」 「えっ?! 唇にだよ!」 「え? でも、ショコラ指定してこなかったしさ」 「普通唇でしょ?!」 「折角のグロスが落ちるだろ?」 「え?」 「んで? ショコラの本名は?」 「…教えてあげない」 「え?」 「ちゃんと唇にしなきゃ教えてあげない」 「やっぱいいや。 別に呼ばれたくないだろうしな」 「…ミオ」 「え?」 「早坂 澪」 「ミオ?」 「……稚空」 「ん?」 「ショコラって呼んでね?」 「…澪」 「だ、だからショコラ!」 「澪」 「もぅ! ショコラって呼んで!」 「…澪って可愛い名前だな」 「え?」 「澪って呼んでいいか?」 「えっ?!」 「嫌?」 「な、何で呼びたいの?!」 「え? だって、可愛い名前だし勿体無いじゃん?」 「…可愛くないよ、別に」 「可愛いって? 澪って呼ばせろ」 「で、でも…」 「いいだろ?」 「呼ばせたら、ここで働かせてくれるの?」 「いいけど?」 稚空がフッと微笑みそう告げると、ショコラはパッと咲いた花みたいに喜ぶ。
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