耳元で…

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あの一件以降、あたしの感覚は大きく変化した。特に危険を感じることにかけては、ずば抜けていた。 小学5年になったあたしは、F県に来ていた。 毎年あたしの住むO町では、町内にある5つの小学校が集まって、宿泊学習が行われている。 参加するのは5年生。あたしももちろん参加していた。まぁ、遠足が宿泊学習だったので、みんな参加するんだけど…。 それは初日の夜のことだ。 室長だったあたしは、グループのみんなとケンカした。なぜケンカしたのかは覚えていない。おそらく些細な事だろう。 とにかく、あたし一人が孤立してしまい、部屋にいるのが嫌になったあたしは、部屋を飛び出した。 (どうしようかな…。どこ行こう…。) 無論行くとこはない。友達がいる部屋の番号は覚えていなかった。 しばらくフロアを歩き回った後、なんの気なしに、あたしは廊下の突き当たりに向かった。 すると、そこには小さな階段とドアがあった。 (なんだろう…。)
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