耳元で…

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カチャッ…。 わずかに重いその扉は、あたしがノブを回すとなんなく開いた。 瞬間、あたしの背筋は凍りついた。頭から足の先まで電気が走ったかのように、体を恐怖心が駆け巡っていく。 (ヤバイ!) なぜそう思ったのか。 そう思う理由はなんなのか。 そんなものはなかった。ただあたしの直感が告げている。危険だ…と。 勢い良く扉を閉め、来た道を駆け戻る。 その時だ。あたしの耳のすぐそばで声がした。 『待ってぇー…』 どんな声かは伝えきれないだろう。アレは生きた人間には到底発することは出来ない。 まるで地の底から響いてくるような、それでいて頭の中から聞こえるような。そんな声だ。 「……!」
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