第4話 輪島浩二編①

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 俺はミルクの柔らかい肩をぐっと掴んだ。そのまま体勢を反転させる。  最近やってないのは、詩織とだけではない。  金がなければ、女とやれない。  3か月前くらいまでは良かった。  俺のファンだっていうヤツは、声をかければ8割くらいの確率で股を開いた。  片っぱしからやった。でも、たいてい後悔して終わった。  みんな、歌えって言うから。そのたびに俺はキレた。キレたらあいつらは冷めてしまって、さっさと離れていった。 【あいつ、最悪だよ】 【ファン食い荒らして、性質悪すぎ】  ネットでこっそり叩かれる。 【コウジはもうダメだね】  終わりを決めつけられるんだ。  ふざけんじゃねえ。愛想振りまくためにやってたんじゃないんだ。どっちにしたって俺はもう。  ……駄目だ、思い出すな。
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