第5話

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「そこがお前さんの魅力かの。 ここは廓じゃ。金さえあれば好みの女が抱ける。 じゃがの、男は勝手な生き物でのう。 手に入った女に興味は無くなるんじゃよ」 都季は、訝しげな表情で「はあ」と頷いた。 「駆け引きかの。女子(おなご)を落とすまでが面白いんじゃ 手中におさまるのが容易では、つまらん。しかし堅固じゃと中途で諦めるしの。上級女は、この中間でおる事を保つんじゃな」 「私の話じゃなくて、上級女の話ですか?」 茶を見つめていた老人の目が、都季に向いた。 「いや、お前さんの話じゃ。 お前さんは上級女の素質を持っとる、というとるんじゃ」 「え、私がですか……」 都季は戸惑った。どのような顔をすればよいのか分からなかった。 娼妓になるつもりなど、さらさらないが、老人が話した素質とは、最高の女と謳われる上級女である。双龍の唐紙の奥に座した自分の姿が頭に浮かんだ。
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