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「七瀬さん、ちょっと」
始まりは入学式10分前だった。
顔の知らない、けれど近い未来の担任であろう女の先生が私に声をかけてきた。
「なんですか?」
ぴったり並べられた椅子に座った角度をずらして、先生を振り返ると、先生がすごく申し訳なさそうに眉を曲げた。
「うん、七瀬さんに生徒代表挨拶を頼みたいんだけど」
「……はい?」
唐突な言葉に驚いて間抜けな声が出る。
聞いていた周りも予想外だったみたいで、その場の空気がざわざわと揺れた。
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