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「…おまえさ、一瞬でも俺のこと思い出したりしたの?」
「えー?」
「その男といるとき」
浮気はまぁ、一度目だししょうがない、みたいな空気になって俺の部屋でコーヒーを飲んでいるとき、気になっていたことを葉月に聞いた。
葉月は、クッションに背中を預けながら俺を見てクスリと笑った。
「んー…。
思い出したよ。
あー、私浮気しちゃダメなんだよなーって。
でも、その目の前の男の人すごいカッコイイし、私のことめっちゃ気に入ってくれていたんだよ。
一夜の過ちで良いって言ってくれたし、じゃあいいかーって。
だって、これからずっと二股かけるわけじゃないじゃん?」
「そういう問題じゃねーだろ」
「そういう問題じゃないの?
だって、私もう別に処女でもなんでもないよ?
可愛いだけが私の取柄だもん」
「…は?」
「別にすごいお金持ってるわけでもないしね?
私の人としての価値は、この容姿なんだから、それを傷つけなければいいじゃんねー?」
あれ?違うかな?と言って葉月は苦笑した。
そして一瞬暗い顔になる。
……俺はずっと葉月と一緒に過ごしてきたつもりだった。
いつから、葉月はこうなっていたのだろう。
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