Wind.01

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「…おまえさ、一瞬でも俺のこと思い出したりしたの?」 「えー?」 「その男といるとき」 浮気はまぁ、一度目だししょうがない、みたいな空気になって俺の部屋でコーヒーを飲んでいるとき、気になっていたことを葉月に聞いた。 葉月は、クッションに背中を預けながら俺を見てクスリと笑った。 「んー…。 思い出したよ。 あー、私浮気しちゃダメなんだよなーって。 でも、その目の前の男の人すごいカッコイイし、私のことめっちゃ気に入ってくれていたんだよ。 一夜の過ちで良いって言ってくれたし、じゃあいいかーって。 だって、これからずっと二股かけるわけじゃないじゃん?」 「そういう問題じゃねーだろ」 「そういう問題じゃないの? だって、私もう別に処女でもなんでもないよ? 可愛いだけが私の取柄だもん」 「…は?」 「別にすごいお金持ってるわけでもないしね? 私の人としての価値は、この容姿なんだから、それを傷つけなければいいじゃんねー?」 あれ?違うかな?と言って葉月は苦笑した。 そして一瞬暗い顔になる。 ……俺はずっと葉月と一緒に過ごしてきたつもりだった。 いつから、葉月はこうなっていたのだろう。
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