Wind.01

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そのときから、葉月を見る目が変わった。 よく見てみればわかる。 これだけきれいな仕草も、よくできた性格も。 まるで容姿負けしないことを目標にしているかのようだった。 葉月は、葉月という容姿に価値を見出している。 逆に言えば、それ以外のものになんら価値を見出していないということ。 …そして見れば見るほど、作り物ではない良いところがたくさんあること。 困ってる人がいれば、俺を最優先にしなくてはいけないとわかっていても、どうしても手を貸してしまうとこ。 彼女がいる男とは絶対に口を利かないとこ。 動物が好きなとこ。 友達には精一杯優しくするとこ。 嫌なことがあっても愚痴はこぼさないとこ。 嘘はつかないとこ。 こんなにあるのに、葉月は一切それを自分の評価として取り入れていなかった。
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