Wind.01

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――早く。 早く気づけよ。 葉月の良いとこ。 あんた、容姿なんか悪くたって、すげぇいい女なんじゃねーの。 むしろ、浮気性以外に何があるんだよ。 別にそんな聞き分けの良い女にならなくてもいいんじゃねーの。 サービス業じゃねーだろ、コミュニティ社会は。 もっと良いとこ教えてやりたい。 もっと自分のことを大事にしてほしい。 もっと他の人にも知ってほしい。 ――俺も、葉月のこともっと知りたい。 俺のことも、もっと知って。 ゆっくり、じっくりと沼にはまっていくみたいだった。 葉月という女は非常に厄介で。 厄介だからこそ、溺れるようにハマり、そしてさらに奥へと沈んでいく。 気づいた時には、もう引き返せないくらい、葉月のことを好きになっていた。
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