Wind.01

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――そして、葉月はやっぱり厄介な女なんだ。 「おいっ!」 「いってっ…!」 道路を横断して葉月の元に走りよると、葉月が驚いた顔をして俺を見上げているのが視界の端に入った。 …腕に、アザも見えた。 それから視線をそらして、目の前にいる男の腕をつかむ。 声の割には、思ったほど大きな男でもなかった。 つかんだ腕も細い。 「あんた、声デカいよ。 すげぇ響いてる。 公衆の面前で、女とモメるのはどうだよ」 「はっ? なに、おまえ!?」 「通りすがり。 さっきからすげぇ気になってたんだよ」 多分これだけ大声をだす男だ。 間違いなくさっき葉月が声を出して呼んだ『椿』という男が気になってるだろう。 少なくてもそれくらいは入れ込んでいるはずだ。 だったら自分がその『椿』だということはバラさない方がいい。 それを葉月も俺の視線で組んだらしく、俺の名前は出さなかった。 「おまえは関係ないだろ!」 「ないけど! …ないけど、いくらなんでもこれはほっとけないだろ。 警察呼ばざるを得ない」 「はぁ!? 俺の彼女に詰め寄って何が悪いんだよ!」 つかみかかってくる勢いで怒鳴ってくる。 でも、男の腕は俺がつかんでいるので、殴りかかってはこなかった。
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