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「椿!
椿、楓ちゃんのことが好きなの!?
なんで!?」
「……いや、好きっていうか…」
いつにない葉月の焦りっぷりに動揺した。
葉月はいつだって余裕の女だ。
こんな風に、なりふり構わずに俺に話してきたことなんか一度もない。
いつだって隙がない。
かわい気のある隙以外は見つからないような女なのに。
「……なに、葉月。
どうしたの?」
「どうしたの…って。
そんなの、私が聞きたいよ…っ!
椿は、…椿は、私が好きなんだよ」
「え…」
「ずっと、私が好きなんでしょう…!?」
俺を見上げた顔が、必死だった。
泣きそうに縋り付いてくる、か弱い女の子に見えた。
いつもの葉月ではない。
ただの、ひとりの女の子。
……あぁ、どうしよう。
ひどく、面倒だ。
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