Wind.01

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「椿! 椿、楓ちゃんのことが好きなの!? なんで!?」 「……いや、好きっていうか…」 いつにない葉月の焦りっぷりに動揺した。 葉月はいつだって余裕の女だ。 こんな風に、なりふり構わずに俺に話してきたことなんか一度もない。 いつだって隙がない。 かわい気のある隙以外は見つからないような女なのに。 「……なに、葉月。 どうしたの?」 「どうしたの…って。 そんなの、私が聞きたいよ…っ! 椿は、…椿は、私が好きなんだよ」 「え…」 「ずっと、私が好きなんでしょう…!?」 俺を見上げた顔が、必死だった。 泣きそうに縋り付いてくる、か弱い女の子に見えた。 いつもの葉月ではない。 ただの、ひとりの女の子。 ……あぁ、どうしよう。 ひどく、面倒だ。
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