1730人が本棚に入れています
本棚に追加
すうっと身体が軽くなっていくような気がした。
そして目の前の好きで好きで、忘れることができなかった彼女のことを見つめる。
この女の子のことが本当に好きだった。
短所も長所も知ってる。
それを含めて、それでもこの子が良いと、この子じゃなきゃダメなんだと何度も思い、蹴りをつけることができなかった。
こんなに恨んでも、離れれば会いたくて、恋しくて仕方なかった。
もう二度と恋などしないとも思った。
……そうか。
でも、多分今なら…もう。
「葉月、おまえさ…、お前が思ってるほど嫌な女じゃないよ」
「え?」
「女としてだけじゃなくて、人として。
おまえが知ってる男は、おまえの外見ばかり褒めてきたのかもしれないけど、中身含めて良い女なんだよ」
葉月が目を見開いた。
自分の声が優しくなるのを感じる。
「だから、安売りすんな。
もっと大事にして。
俺は葉月を好きだった時、ずっとそう言いたかった」
そっか…、そうだったんだ。
口にして初めて気づいた。
あまりに葉月との恋愛にゴタゴタしていて、言いたいことが分からなかった。
嫉妬が邪魔して怒っているだけだった。
自分のやっていた行動がひどく子供じみていたことにも気づけなかったんだ。
最初のコメントを投稿しよう!