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「…楓ちゃんが好きだから?
楓ちゃんが、私から椿を奪ったの?」
「…そうじゃねーよ」
「なんで?!
私の方がずっと可愛いよ!
それに楓ちゃん、陽大のことも私から取ってるじゃん!
なんで椿まで…っ!」
「違うよ、葉月。
俺は楓を好きだとか言ってるわけじゃない」
葉月がハッとして顔をあげた。
抱き着いている腕が緩んだのを見て、俺はその腕をやんわりと離した。
「葉月がどんな風に取っているのか知らないけど、俺は楓と付き合ってるわけじゃないし、好きでもないよ。
確かに可愛がってはいるけれど、恋愛感情かは分かんない。
正直、葉月に向けた感情と同じだとは思ってない」
「…え……」
「だから突っ走るなよ。
少し落ち着いて」
ポン、と葉月の頭の上に手を置くと、葉月が初めて肩の力を抜いた。
だけど、若干肩が震えている。
俺はそれを見て、小さく息をついた。
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