Wind.01

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……そうだ。 知らないのだ。 葉月を追いかけて、追いかけて、それしか俺は『恋愛』を知らない。 本気で追いかけられたことなんて、ない。 楓以外には一度も。 愛されている実感。 だからこそ、そばに居て感じる心地よさ。 とてもずるい感情だけど、でもそれでも持ってしまう。 持たずにはいられない。 自分をすべてさらけ出しても、どれだけ傷ついても追いかけてくれるから、それを確かめたくて仕方なくなってしまう。 そして追いかけてくれば、追いかけてくるほど募る愛おしさ。 ――人間って、なんて身勝手。 「ごめん、葉月」 「…ふらないで」 「……ごめん。 でも、もう遅かったんだ」 変わってしまう。 感情など、永遠に同じではいられないのだから。 俺も、……葉月も。
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