Wind.01

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「…何? マジで妬いてんの? お前だって、勧めてたじゃん」 「そうだね。 そのことについては謝るよ。 ごめん」 ごめん、と言われても謝っている目ではない。 俺は生姜焼きを食べようとしていた箸をおいて、陽大の方を向き直った。 …これは、ちょっとふざけている様子ではない。 「なに? …なんだよ」 「あのさ。 椿、やっぱり楓惑わすのやめてよ」 「は?」 急にそんなことを言われて面食らった。 陽大は今まで、俺と楓のことを否定したことはない。 「なんで? なに、急に…」 「俺が楓を好きだから」 「え……」 陽大とは思えないほど、直球だった。 「椿、俺のために楓譲ってよ。 そのくらい、いいでしょ?」 「……」 ――こんなこと。 こんなこと、今までの陽大だったら考えられないことだった。
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