Wind.01

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「俺は泣かせるために、楓と椿を見守ってきたわけじゃない。 笑ってほしくて見守ってきたんだ。 でも…、もういいや。 結局、椿だって葉月と同じでしょ?」 「…は?」 葉月と俺が? まさか。 心底心外だと目だけで陽大を睨んだけれど、陽大は少しも怯まなかった。 「同じだよ。 気づかないなら、それはお前が自分勝手なだけだ」 「ふざけんなよ。 俺がいつ、浮気したわけ? 俺は今まで葉月以外好きになったことはないし、浮気もしたことねぇよ」 「でも、一緒だよ。 お前、今日少なくても葉月と何か話して帰ってきたんじゃないの? ちょっとはマシなこと話した? もうそろそろ、気持ちだって変わってきたんだろ」 陽大に言ったこともないことを突かれて驚いた。 マジマジと陽大を見ると、陽大がため息をつく。 「…わかるよ。 そのくらい。 俺、一体どれだけ長く椿の保護者やってると思ってるの」 やれやれ、と言わんばかりの顔にムッとして、 「…俺には、陽大の今考えてることが分からないんだけど」 と言い返すと、また大きなため息だけが返ってきた。
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