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「俺は泣かせるために、楓と椿を見守ってきたわけじゃない。
笑ってほしくて見守ってきたんだ。
でも…、もういいや。
結局、椿だって葉月と同じでしょ?」
「…は?」
葉月と俺が?
まさか。
心底心外だと目だけで陽大を睨んだけれど、陽大は少しも怯まなかった。
「同じだよ。
気づかないなら、それはお前が自分勝手なだけだ」
「ふざけんなよ。
俺がいつ、浮気したわけ?
俺は今まで葉月以外好きになったことはないし、浮気もしたことねぇよ」
「でも、一緒だよ。
お前、今日少なくても葉月と何か話して帰ってきたんじゃないの?
ちょっとはマシなこと話した?
もうそろそろ、気持ちだって変わってきたんだろ」
陽大に言ったこともないことを突かれて驚いた。
マジマジと陽大を見ると、陽大がため息をつく。
「…わかるよ。
そのくらい。
俺、一体どれだけ長く椿の保護者やってると思ってるの」
やれやれ、と言わんばかりの顔にムッとして、
「…俺には、陽大の今考えてることが分からないんだけど」
と言い返すと、また大きなため息だけが返ってきた。
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