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「あー、体育祭ダルい」
「てか、暑ぃ。
こんな夏真っ盛りの時に、外に来させるとか鬼か先生は」
五限の体育の時間。
暑い時期だということもあり、体育が始まるまでの間、男子陣は木陰へ避難していた。
いつも俺の周りにきて適当に騒ぐ、適当なメンバー。
陽大だけがその場から欠けている。
「なー、椿。
梶、どうしたの?なんでいねぇのよ」
阿部がその話題を引き出すように触れて、それを発端にして周りの何人かの奴らもその話題に乗っかった。
「それ、思った。
てか、今日一回も、柳瀬と梶話してねぇだろ?」
「喧嘩でもしたわけ?」
「あー…」
喧嘩?
あれ、喧嘩なのか?
昨日の夜の言い合いというよりか、一方的な怒られ方をした一件を思い出す。
あの後、俺は結局いつも通りに陽大の家に泊まった。
朝、顔を合わせたけど、『おはよ』という挨拶だけだった。
一緒に登校もしていない。
たぶん、陽大はまだ俺に対して怒っている。
…怒っているのは分かっているのだけれど。
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