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「いや、してない。
今日も、陽大の家から登校してる」
「なんっだよ、普通に仲良しじゃん」
結局そのことについては言わなかった。
言ったって、俺にはメリットがないし、そのあとの話題は確実に喧嘩の原因になる。
それを追及されるのはひどく面倒だし、何よりコイツらの視線の先に楓を入れたくない。
「じゃあ、また梶の気まぐれかー。
あいつ、大人っていうか、カッコイイもんなー」
阿部が腕を組んで、ふぅーっと大げさにため息をついた。
「群れないし、彼女できたときも飄々としてるし、別れたときもあっさりとしてるし。
イケメンで、気が利いて、優しくて、包容力があって…、あぁ、ダメだ。良いとこしか見つからねぇ」
「まぁ、ちょっと絡みずらいとこはあるけどなー」
周りの奴らも、うんうんとうなずく。
俺は木陰の中から、陽大の姿を目で探した。
暑い日差しをサンサン浴びて、他の友人と会話している。
大人っぽい感じの友人で、陽大と仲の良い奴の一人だった。
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