1730人が本棚に入れています
本棚に追加
「チャレンジャー…。
つか、なに?もしかして椿運動神経もズバ抜けてるわけ?」
「椿は、運動得意だよ」
「…いや、勉強よりは苦手だよ」
ハードルを上げるように陽大がわざとあおってきた。
…あぁ、やっぱり昨日のことまだ怒ってるみたいだ。
俺の方が短距離が苦手だと知っているくせに。
俺の目線で気持ちを嗅ぎ取ったのだろう、陽大は短く
「勝敗なんていつだってやってみなくちゃ分からないって意味だよ」
と付け加えた。
「嘘つけよ。俺一回も勝てたことねーけど」
「でも、今日は勝てるかもしれないでしょ?」
「いやー、俺は梶に勝ってほしいけどな。
だって、ここで椿勝っちゃったらすべてが椿の勝利の手に収まることになる」
阿部が言った言葉に陽大はふ、と笑った。
「あー、確かに。
それは悔しいなぁ」
先生が、俺と陽大を呼ぶ声が聞こえた。
最初のコメントを投稿しよう!