Wind.02

14/20
前へ
/534ページ
次へ
俺の後方には楓がいた。 「……なに。 どうしたの?」 言いながら彼女を思わず凝視する。 楓は今日、ずっと俺を避けていた。 それが今更なんで、俺を探しにきたんだろう。 「…ごめん、話があるんだけど」 「…話?」 「いい? 今、時間とっても」 「いいけど」 問題集を片付けないまま椅子を引く。 事務連絡じゃねぇな、と悟った。 事務連絡だったらここでしない理由がない。 さっきまで陽大と楓は教室に残っていたはず。 嫌な予感がした。 …陽大と、何を話したの。 流れるように貴重品があるカバンだけをもって外に出る。 異様に図書室から離れがたかった。
/534ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1730人が本棚に入れています
本棚に追加