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廊下に出ると、
「勉強道具、置いてきちゃったけどいい?」
と声をかけた。
廊下に出た瞬間、静かにしている理由がなくなる。
沈黙が周りの迷惑を考えてのことから、気まずい雰囲気に移り変わる。
それが嫌で、当たり障りのない会話を投げかけた。
「…あ、うん。
いいよ、ごめん」
ポカン、とした顔の楓。
だから、あんたは『バカ真面目』なんだと言いたい。
この空気が嫌だとか感じている俺にはたぶん一切気付いていない。
そして、俺のごまかしなんて全然気にしないで、たぶん本気でぶつかってくる。
「あ、そ。
で、なんだよ話って」
だからさっさと話をふった。
楓には直球以外通用しないし、どうせどんなごまかしも意味がない。
そんな楓でも言葉を探しているのか、俺の質問に黙り込んだ。
俺が察していないとでも思ってんのかな。
やっぱり本当はバカなんじゃないかな。
そして、そういうとこ、俺はたぶん嫌いじゃない。
「もしかして、昨日のこと?」
話をふると、楓の肩がピクリと動いた。
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