Wind.02

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「何言ってんの?おまえ。 まだ、俺のこと好きだろ?」 言っていて声が震えていないか怖かった。 何に、こんなに俺はおびえているんだろう。 この、目の前の彼女が言うセリフにドキドキしている。 震えている。 「バカ、アホ!この理系頭!」 急に怒鳴りだした彼女は、肩が震えていて怒っていた。 相変わらず、語彙力がない。 正直、それに救われたかもしれない。 たぶんこのまま、平静を保たれていたら怒っていたのは俺のほうだ。 深呼吸するみたいに小さく息をつく。 「…おい」 「やめたいって言ってるの。 っていうか、もう私、柳瀬のことあきらめる。 これ以上振り回されるの嫌だから」 「は? 振り回してないだろ。 あんた、やっぱり昨日のこと気にしてるの? 昨日のあれは…」 「あれは何よ!」 彼女の握っているこぶしが震えていた。 …怒ってる理由は、俺が好きだからじゃないんじゃねーの? 一瞬芽生えた自分の予感に感情がまたマイナスに戻される。 楓の目からボロボロと涙がこぼれ出てきた。 困るけど、それでもまた平静に戻るのも事実。 一瞬、焦る。 その感情は葉月と俺がキスしたことへの嫉妬から来るのか、それとも楓を侮辱したと思って怒っているのかの狭間で迷う時。
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