1730人が本棚に入れています
本棚に追加
「何言ってんの?おまえ。
まだ、俺のこと好きだろ?」
言っていて声が震えていないか怖かった。
何に、こんなに俺はおびえているんだろう。
この、目の前の彼女が言うセリフにドキドキしている。
震えている。
「バカ、アホ!この理系頭!」
急に怒鳴りだした彼女は、肩が震えていて怒っていた。
相変わらず、語彙力がない。
正直、それに救われたかもしれない。
たぶんこのまま、平静を保たれていたら怒っていたのは俺のほうだ。
深呼吸するみたいに小さく息をつく。
「…おい」
「やめたいって言ってるの。
っていうか、もう私、柳瀬のことあきらめる。
これ以上振り回されるの嫌だから」
「は?
振り回してないだろ。
あんた、やっぱり昨日のこと気にしてるの?
昨日のあれは…」
「あれは何よ!」
彼女の握っているこぶしが震えていた。
…怒ってる理由は、俺が好きだからじゃないんじゃねーの?
一瞬芽生えた自分の予感に感情がまたマイナスに戻される。
楓の目からボロボロと涙がこぼれ出てきた。
困るけど、それでもまた平静に戻るのも事実。
一瞬、焦る。
その感情は葉月と俺がキスしたことへの嫉妬から来るのか、それとも楓を侮辱したと思って怒っているのかの狭間で迷う時。
最初のコメントを投稿しよう!