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「柳瀬くん、とりあえず自己紹介しておこうか」
「……。
なんか俺、転校生みたいですね」
「仕方ないわよ。
三ヶ月も休んでいたんだから」
朝のホームルーム。
1時間目が担任の授業だった為、急遽柳瀬のために入れられた。
柳瀬においでおいで、と手を縦に揺らす先生。
柳瀬は渋い顔をして、椅子を引いた。
その場で立ち上がると、前に行くわけでもなく、彼はざっと教室を見回す。
「柳瀬椿です。
三ヶ月、旅をしていたので学校に来てませんでした。
あー、あと女はあんまり好きじゃないです。
よろしくお願いします」
さっきのシャッターのことでも引きずっているのだろうか。
まだ不機嫌そうだった。
それにしても、
「………」
斜め前の空席が埋まっている。
昨日助けた男は本当に柳瀬椿だったんだなぁ、と私は頬杖をついてそれを眺めた。
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