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柳瀬はクラスに溶け込むのは意外にも早かった。
旅好きだというだけのことはある。
今や、男子がわらわらと群がる中央の机に座って方膝を立て、微笑を浮かべている柳瀬。
その横で肩を並べるようにして梶も楽しそうに笑っている。
……女嫌い、とは思えないんだけどなー。
お弁当のたこさんウィンナーをピックごと掴みくるくると回す。
そのままパクッと口に放り込むと、はじけるような哄笑の声が柳瀬を中心に起こった。
「人気者だねー、意外にも」
「そうね。
女嫌いなんてあり得ないよ。
いい思いしかしたことないでしょ、女関係」
さっきの哄笑で妙な納得を得た私は、彼から目をそらしてお弁当に集中する。
唯は私の考えにいまいち納得できないらしく、
「そうかなあ」
と短く呟いた。
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