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聞きなれたスマホの目覚ましの音で、やっと目が覚めた。いつものように頭上に手をやり探す。すると、何か硬いものに触れた。
不思議に思い目を開けると、鎌田先輩の頭に触れていたらしい。しかもドアップ！
「おはようございます」
「お、おはようございます」
何だか恥ずかしくなり思わず布団の中に、いそいそ隠れてしまった。
「よく眠れたみたいですね」
布団の外で声がする。
「はぃ……しっかり寝てしまったみたいで」
「そんなに、よかったですか？」
「へっ!?」
そんなコト、答えられるわけないじゃない。
照れる私に多分笑っている様子で、いきなり布団をめくる鎌田先輩。びっくりしていると、膝裏に腕を回し横抱きにして、どこかに向かう。
「あの、鎌田先輩？」
「さっさとシャワー浴びて支度しないと、会社に間に合わなくなります」
「自分で歩けますよぅ」
「昨夜腰が砕けていた人が、よく言いますね」
ニヤリと笑って、まじまじと顔を覗き込んできた。朝から刺激が強すぎて、赤面するしかない。
バスルームの扉を開け、私を中に入れてくれる。
「ベッド以外での愛し方、教えてあげますよ」
「ちょちょちょ、あの時間ないですよ。しかも今日は鎌田先輩にとって、大事な重役会議があるじゃないですかっ！」
「重役会議よりも、こっちの方が一大事です。出来の悪い部下を躾けるのは、上司の務めですから」
「朝からちょっと刺激が強すぎて、体が持たな――」
苦情もあっさりと、くちづけで封じられてしまった。パタンと扉が閉ざされた瞬間、シャワーの音が耳に聞こえる。
そしてふたり揃って、遅刻ギリギリで出社したのは言うまでもない。
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