第1話

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ふるふると黒の瞳を揺らしながら小さな小さな少女は顔や着物にべっとりと赤い血を付けて小刀を持っている両腕を近づけた。 その少女についている赤い赤い血液は降り注ぐ大量の雨に濡れて赤色と透明な水が混ざり合いマーブル模様を作り湿った茶色の土の上を流れる。 「大丈夫かい?」 そう言いながら手を少女に伸ばすが少女は黒の瞳を怯えたように俺の顔から外さない。雨で俺の着ている着物もぐしょぐしょに濡れる。 少女が小刀を持って怖いはずの敵に向かう理由は少女の後ろにある。その理由となるものも雨でぐしょぐしょに濡れてもうそこから流れている赤色のものでさえ流れていく。 「………殺した……」 余りに小さな声だったので聞き逃すと思ったが俺には確かに聞こえた。その少女が言った台詞に反応してか俺は少女の前に座る。 「あぁ、そうだよ」 また、少女の瞳はどんどん力強くなって言った。
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