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「いくぞーっ」「おねがい!」
「翔!」「はいっ」「トスっ」
朝の体育館にシューズのキュッキュという音とボールの音、男達の叫び声が響く。
「はい、集合ー」
監督の小さい指示を聞いた一年が声を上げた
「集合です!」
それを合図に聞こえた者から同じ言葉を復唱していく。
「集合です!」「集合です!」
「集合です!」「集合です!」
それがキャプテンまで伝わると号令がかかる。
「集合っ!」「はいっ!」
顧問の前に膝立てで低くなって、全員が横一列綺麗に並んだ。
「今日の朝練は以上。ちゃんとアイシングしとけよ。解散」
「「はいっ」」
…軍隊か。
いや、違う。
ここは天沢西高等学校、男子バレーボール部だ。
変わり者の先生が顧問で軍隊のように動く。他校からも面白いチームだと有名なほどだ。
「翔、制汗剤貸して」
「ん。」
こんな軍隊みたいなチーム変に思うだろう。まぁ変なんだ。でも俺はもう慣れた。先日入ってきた一年は最初は影で文句を言っていたらしいがだいぶ動きも早くなってきた。
人は順応性の高い生き物だなぁとつくづく思う。
うちのチームは県内では強いほう、まあ一位を争うくらいの位置にはいる。
…まぁこんな事してて弱かったら本当にやめてやりたいくらい屈辱的な事だがな。
でもそのおかげで他校の生徒にはすぐ覚えられるし、天沢西と言えばちょっとちやほやしてもらえる。
教室へ入るとHR開始5分前。
いつもギリギリだ。
翔「おはよー」
雅「おー!翔じゃん。おはよー!今日遅いと思ったら朝練かー。」
翔「おはよ。そーそー。この感じだと一時間目から昼飯だなぁー」
雅「じゃあ昼売店いこうぜ!俺も今から昼飯にするー。」
俺はゆっくりと
窓際の後ろから三番目の席について、荷物の整理もせずに古典の教科書を開いた。
俺は古典の教科書を読むのが好きだ。
内容を勉強したりするといろんな事が理解できて作品に愛着がわく。
そのうち担任が入ってきてHRが始まったが何を言ってたかは知らない。
俺は古典の世界に入っていたんだからな。
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