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「「いただきます」」
言い終わったと思ったら、横でカレーにがっつく中年男性。
なんだろう、この図は。
実の父に対し少々失礼なことを考えながら、ふと先ほどの話を思い出したので、一応聞いておくことにした。
「ねぇ、父さん。
そう言えば、さっき何言おうとしてたの?」
「あ、あぁ、そうだった。
ちょうどここの真上だったか。
二○一号室の斉藤(さいとう)さんに、今回もまた家賃滞納してますよ、って声をかけに行って欲しいんだ」
「え、つまり、家賃の取り立てに行けと?」
私の頭にふと浮かんできたのは、アロハシャツやスカジャンを着てグラサンをかけた、パンチパーマとかオールバック姿の、まるでヤーさんのような柄の悪いおっさん。
いやいやそれは闇金とかの取り立てだろうが、と自分にツッコミながら腕組みをした。
「てか、またってことは、その斉藤さん、前にも滞納したことあるの?」
「色々と金銭的に生活も厳しいらしくて、しょっちゅう納金が遅れる人でね。
多少の遅れは全然構わないとは言っているけど、念の為にそろそろそんな時期ですよー、っていう声かけはしてあげているんだ。
必死に仕事していたらつい払い忘れて、気付いたら家賃滞納してました、なんてなったら可哀想だろう?」
なるほど、と小さく呟きながら、カレーを口へと運ぶ。
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