如月遊里はかく語りき。

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今の事態が別に何の問題もないという結論に至り安心していると、城門の方から兵士達の集団が跳ね橋を渡ってこちらへ向かってきているのが視界に入った。 というよりは、先頭を走っている女性のお供に慌てて着いてきているという雰囲気だろうか。 「遊里さぁぁ~~ん!!」 手を振りながら走ってくる女性としてのシンボルが致命的に欠如した悲劇の少女アイリス。 こんなにも走ってるというの然るべき位置にある筈のモノがまるで揺れていないのだ。おかしな話である。 「ふんっ!!」 突然、視界に映るアイリスの拳すなわちナックルが巨大化した。 「うおおおお!! 殺られてまるかァァァァ!!」 皮一枚の所で、文字通り目と鼻の先まで迫った助走つきの一撃を回避。 頬から焦げ臭い香りが立ち上るのを感じて喉を鳴らしながら、頬を抑えて後ずさる遊里。 「えっwwww!? 何いまのダイナミックおもてなしwwww!! 確実に仕留めに来てましたよねwwww!?」 「やだなーほんの冗談ですよ、冗談。」 「そうか冗談か。冗談にしては中々に殺意というか、やけに力の入った冗談だったな。」 おしっこチビりそうになったぞ。 自分で呼びつけといてぶん殴ってお出迎えとかどんな理不尽だよ。冗談で良かった……のか? 「それはそうとして、すぐに駆けつけてくれた事は助かります。ありがとうございました。 細かい事情は移動しながら説明しますので、みなさんもどうぞこちらへ急いでください!」 どこか釈然としない思いを抱きつつも、遊里達は城の中へと急いぐのだった。
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