如月遊里はかく語りき。

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外へ出ると、夜もすっかり明けたというのにどうにも薄暗い空が広がっているようで、あまり太陽の日射しが感じられない。 見慣れた城門の前はいつになくざわついており、野次馬のようにそこらに集まっている人々からはどこか焦燥が感じられた。 それに、突然の空間を裂いて現れた遊里達にもまるで驚くことがなく、興味の対象が別の部分へ釘付けとなっている様子だ。 「なんだコイツら…………」 訝しげに辺りを見渡していると、雑踏に混ざって口を開いてアホ面ぶらさげている紺色兄妹を見つけた。 よくよく見たら、周りの人間も一様に空を見上げているようだ。 「おうおうお前ら何を池の鯉みたいに口おっぴろげてんだよwwwwハナクソ突っ込んでやろうかwwww?」 遊里が声をかけてやっと気がついたレイ。 思い切りひきつった笑みのまま上を、空を指差す。 「あっ、し、師匠……………アレ……………。」 「あん?別にただの曇り空で何にも―――――」 何にも無い。そう続けようとした瞬間にさしもの遊里も思わず固まった。 他のみなさんも漏れなくフリーズしている。 「でか………………」 誰かがそう呟いた。そして誰もがそう思った。 薄暗さの正体は曇り空でも紅い霧でもない。 王都の空を埋め尽くす程に巨大な飛空挺が城の真上に覆い被さっていた。
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