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「しかし、すごいな…麗は。あんな事があっても気丈に明るく振る舞ってる…。
しかも、何年か前に俺とお前の立ち話を聞かれてしまって、結局全部知ることになってしまったんだよな…。
あの時は悪い事したよ…。」
「俺もあの時は焦ったよ!
この際だからと腹をくくって、洗いざらい全部話したら何とか理解してもらえた。
本当に出来た娘だが、親がこんなだから苦労ばかりさせてしまったな。」
「まさか、俺が『もぐら』だと知った上で俺を受け入れるなんて思わなかったよ…。本当に大した子だよな…。
隆、あまり自分を責めるなよ…?
お前は良くやってるよ…。男手一つで麗を育てたんだからな…。」
「…妻と息子が強盗に襲われて息を引き取った。
俺が往診に行ってる間にな!
たまたま麗も連れて行ったからあいつは無事だった。」
「その強盗は俺の『餌』になった…。」
「どうしても奴を許せなかった。
俺は卑怯者だ!
金で、お前に俺の十字架を背負わせたんだ!」
クスクスと笑うもぐら。
「そんな大げさなもんじゃあない。俺は『餌』を食っただけ…。
お前はただ『飼育員』として俺に『餌』を与えただけだから…。」
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