第1話

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抜けるようだった晴天にいつの間にか雲が広がり始めていた。 透明な太陽の光で一時温まりかけた空気が、もう冷たくなり始めている。 風がないのがまだ救いだ。 僕はダウンジャケットのジッパーを喉元まで引き上げた。 そしてひと通り見て回った中から目を付けた露店を頭の中でリストアップしてみる。 ここは「びっくり市」と銘打たれた蚤の市の会場。 地べたにブルーシートを広げただけの店から、会議机を並べて商品の陳列棚とし、しっかり日除けのテントまで組み立てている店まであるが、取り扱う品の種類となると、店の規模以上にバラエティにとんでいる。
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