第1話

3/5
前へ
/5ページ
次へ
【不発弾屋】 ――各年代、大小、信管不良以外の各不発原因の物、各種揃っています さすがにそんな危険物は売らないでくれ、とは思うが、確かに珍しい品には違いない。 なにより「びっくりさせる」という目的には適っている。 いや、びっくりというよりも純然たる恐怖だろうか。 【実用化されなかった発明品屋】 ――素晴らしいアイデアにも関わらず終に日の目を見ることのなかった逸品揃い 実用化されなかったということは、どこかに欠点があったのだろう。 例えば、そのサイズから目を惹いたあの43人乗り自転車などはもし走っている所を目にすることがあれば確かにびっくりしただろうが、一番前と後ろ、それから最上段に並ぶ5つのサドルに関しては全く安全面が考えられておらず、どころか実際に運転されればほとんどの確率で死者がでるだろうという代物だった。 添付されている説明書きによると、スクールの一クラス全員でサイクリングができる事を目的とした発明品だったらしいのだが、サイクリングの度に十人前後のクラスメイトが減っていくのではたまったものではない。 【各宗教、各宗派の御札詰め合わせ屋】 ――ご予算に応じて見繕います 色んな宗教のものを取り合わせるという発想には確かにびっくりする。 神サマ同士がケンカしないのかという点が激しく気懸かりではあるが。 【面白生き物屋】 ――鮮度の良いびっくりをあなたに 数年でも十数年でも眠り続けるが時折突然目覚めて手近なものを喰いちぎるオオネムリスッポンや、暗闇で光源目掛けて弾丸のように飛ぶやはり弾丸並みの硬さの鞘翅を持つダンガンコガネ等、変わった生態の生き物が多数売られている。 確かにどれも面白いが、全て負傷覚悟、あるいは命がけのびっくりだ。 【乾燥人面果実屋】 ――見た目がグロいほど美味 パイナップルやスイカやイチジクなど色んな種類の果物の、果皮の模様が人面に見えたものばかりをドライフルーツにしているようだ。 水分が抜けてしわしわになった人面果実は、土人が殺した敵の首で作る干し首みたいで、食べる気も失せるぐらいにびっくりする。 髪の毛のように見えるのは、おそらくリアリティを出すために演出で付け加えたものなんだろう。多分。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加