18人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
俺達はホテル探索を終え、部屋に戻った。
「このホテル広過ぎだろ、もう疲れた」
俺はベッドに横になった。
「寝ちゃうの?」
「寝ないよ。バーカ」
そうと竜也は呟く。
「ねぇ、今楽しい?」
と竜也は俺に訊く。
「普通、お前なんでフランスに行きたかったんだよ」
そういえば、なんでフランスに行きたかったのか訊いてなかったなって思う。
「ハワイには何回も来たことがある。もう遊びつくしたから」
竜也はそういうと、頬を赤らめた。いいよなお坊ちゃまは
「そんなに行ってるなら、明日街案内してくれよ」
俺は冗談半分で言った。
「もう明日はない。そう明後日も、1年後も、10年後も……」
「え?」
「だから言ったでしょ。ぼくらには、もう未来なんてないって」
竜也?
俺はまさかこの暑さで頭が逝かれてしまったのかと思った。
しかし彼の目の色は幽かに赤じみていた、
彼の目の色はもともと青い瞳。
それに死んだ魚のような眼。お前は一体誰なんだよ。
俺は急に怖くなってしまった。
竜也に憑依した何かはこちらを見ると軽くほほ笑んだ。
俺をあざ笑うかのように……
最初のコメントを投稿しよう!