それは必然の

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カーテンの隙間から漏れる光のまぶしさで、俺は目を覚ました。 なにか夢を見た気もするが、思い出すことが出来ない。 まあ夢なんてそんなものか。良い夢だった気もするし、悪い気はしない。 どうやら寝室は日当たりの良い部屋だったようだ。 俺が住んでいるのはマンションの角部屋だ。それも割と高い階の。 値段的にも高い部屋だろうな絶対。本当いくらするんだ… まだ目覚ましは鳴っていない。 学校も近い場所にあることだし、もう一眠りしても余裕だろう。 俺は睡魔と戦うこともなく、再び意識を夢の世界へ送りだそうとした。 「……ん?」 その時、俺の右手が何かに触れた。撫でるとふわふわしている。 あぁ、そうだイチも一緒に寝たんだっけ… 「………」 こいつ、こんな長毛だったっけ? しかも、なんか、サラサラしてる。人間の髪みたいな… 気のせいか、ぬいぐるみにしては、地肌(?)が堅い気も… …人間の髪!?はぁ!? 睡魔なんかそっちのけでベッドから飛び起きた。 何かがおかしい。ちょっとまて、何かがおかしい。 見ると、明らかにイチにしては大きすぎるカタマリがそこにはあった。 しかもなんか下の方には人間の足が見えてる気が…いや幻覚、きっと幻覚だうん。こんなことが現実にあってたまるか。 しかし、頬を抓っても叩いてもなにも変化はなし。痛い。かなり痛い。 どうあがいてもこれは現実のようだ。 …見るしか、ないのか、これを。 おそるおそる俺はシーツをめくった。 そこで寝ていたのは、人間の男だった。 「ひぎゃぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁぁ」 とりあえず、マンションが防音でよかった。
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