それは必然の

13/20
前へ
/48ページ
次へ
空はもうオレンジと群青のが混ざり合ったような時間。 俺は学校から帰っている。早く家に帰りたいような、帰りたくないような… 全てはあの男が家に来たせいだ。 本当にイチだとしたら、あれは超常現象ってやつなのだろうか。 そういう類いだとしたらどうしようこわい そんなことを悶々と考えているうちに、俺は家に着いてしまった。 「………」 いや、考えても仕方がない。もう入ろう。 がちゃりとドアを開けると、朝の男がひょこりと顔を出した。 「お帰りー!嘉、待ってたよ。ご飯できてるからね!」 ふにゃり、とそいつは俺には到底できそうにない笑顔を俺に向けた。 「あぁ…着替えてくる」 うっかり普通に会話してしまった。 というか、あれに怖いなんて思うのはさすがに出来ないわ。 いくら、もしあいつが幽霊だったとしても、あの顔であの笑顔を向けられたら誰でもほだされると思う。 「はーい、もう盛りつけちゃうから冷める前に来てね。あ、甘口と辛口どっちがいい?」 「あー、甘口、で」 「うぃー、かずはるスペシャルだから期待しててね!」 寝室に行く途中で台所の近くを通ると、ふわりとおいしそうな、空腹を刺激するにおいがする。 こんなんでも男子高校生だ。1日学校にいれば嫌でも腹は減る。 難しいことは考えないでとりあえず夕飯食ってしまおう。話はそれからだ。 俺はカレーの香りにつられてさっさと着替え、リビングへ戻った。 「おーナイスタイミング。丁度運び終わったところだったんだ。はやく食べよー!」 テーブルには本当にうまそうな夕飯だった。チーズののったカレーと、シーザーサラダまで用意してあった。 顔だけじゃなくて料理までできんのかよ…なんというハイスペック。 若干…いやかなり天然っぽいが。 「飲み物はセルフでー。いっただっきまーす!」 「……いただきます」 テンション高えなこいつ。
/48ページ

最初のコメントを投稿しよう!

39人が本棚に入れています
本棚に追加