それは必然の

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おかしなことだらけだ。 どうやって家に入った?何のため?そしてなぜ俺のふとんで寝てた? あのセキュリティ万全なマンションで、不法侵入まぁまずできない。 しかもこいつは、朝に自分のことを「イチ」だと言った。まあありえない話だと思ってるけど。 …思ってるけど、信じたくないが実際ぬいぐるみが見つからない。 「んー…ゆうれい?なのかなあ?」 うーん、と考えるように小首をかしげた。 ゔぐ…やっぱりこの男は怪奇な存在なのか。でもそれにしてはあまりにもふつうの人間に見える。というか幽霊を名乗るには本物のひゅーどろどろな幽霊さんに失礼な気さえしてくる。いや幽霊とか見たことねぇけど。会いたくもねぇけど。 「あ、ごめんね。嘉幽霊とか、ホラー系超苦手なのに。」 「…なんで知ってんだ」 「えー?だって小さいころからホラー特番とかやってるとひとりで寝れなかったじゃん。 ほら、小1のころだって怖くてトイレいけなくておn「しね」」 小さい時のそういう話は出さないのが優しさだろ泣きたいしにたい。 って、こいつ本当にイチなのか…? 母はいなかったし、たしかこれはばあちゃんちに泊まったときのこと。 ばあちゃん以外は知らないはずだ。そして、間違えなくイチもその家にいた。 ……… なんで自分の小さい時の恥ずかしい思い出でここまでまじめに考えなきゃなんないんだ…どういう羞恥プレイだよこれ。 ふと前を見ると、ゆうれい(仮)が必死に笑いをこらえていた。 「…なにか言いたいことがあるなら言え。」 「だってっ…赤くなりながら百面相する嘉がおもしろくてつい…っブフォ」 「殴る。」 「いやーんぼーりょくはんたーい落ち着いてー」 俺の雰囲気で察したのか、ふざけた口調で止めてくる。でもまだ笑いだしそうだムカツクムカツク 「ね!嘉さんごめんなさい本題戻ろうようん!」 指をボキボキと鳴らすと、まぁまぁとなだめられた。 そうだ本題。こいつの正体。なぜこの話題になったし解せぬ。 ゆうれい(仮)は、立ち上がり、空っぽになった食器を台所に運び始めた。 時計の針はもう8時を回っていた。いつもなら30分もかからない夕飯で1時間半もかかるとは… つーかこんなに時間かけて、こいつについてなにも分かってねぇし。 そんなことを思っていたら、さらりと、ゆうれい(仮)は言った。 「まぁとりあえず、間違えなく俺は一度死んでるよ。」
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